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さくらの 読みがたり&創作などなどいろいろ ダイアリー

さくらの 読みがたり&創作などなどいろいろ ダイアリー

小松崎進先生の家庭教育学級



小松崎進 先生の 家庭教育学級

2003年11月20日(木)
雨が降る中、小松崎進先生(この本だいすきの会代表)にだいとしゅんが通う小学校でお話をして頂きました。
2年生の子ども達、80人(そこにはしゅんがいました!)に2冊の本を読んでくださり、その後、保護者対象のご講演をして頂きました。
絵本を読んで頂いて、心のそこから笑ってたり、先生のお話に涙したり、会場はひんやりするような気温だったにもかかわらず、心があったかくなるのでした。




小松崎 進 先生のお話から



① 学級崩壊しているという6年生への読み語り(読み聞かせ)

 ある小学校のお母さんから電話があり、6年3組が授業中に騒いだり、立ち歩いたりという状態で助けてほしいと言われました。それで、6年3組を含む6年生3クラスの読み語りに出かけました。「3匹のこぶたってどこの国のお話?」と聞いたりしながら、子どもたちと話して、『3びきのかわいいオオカミ』の絵本からはじめ、『おさる日記』『うごいちゃだめ!』の3冊読みました。聞く姿ではどの子達が3組なのかわかりませんでした。読み語りを終えたとき、「おばけの話をしようと思ったけど、時間がなくなったからまたの機会にしょう」と言い子ども達と別れました。その後、校長室でお茶を頂いていたら、廊下に子ども達がたくさん来ていて、「おばけの話聞かせてー」と言われたのです。「君たちは何組?」と聞くと「3組です!」と元気よく答えてくれたのでした。
 その噂を聞いたのかもしれませんが、また違う小学校の6年生に呼ばれたことがありました。このときは、はっきりとどのクラスかわかったのです。「読み聞かせだってよ」「ガキじゃないんだから」なんて、数名が後ろ向きに座ってしまい拒否されてしました。その後、先ほどの学校と同じ本を読んだのですが、読み語りを始めて、『3びきのかわいいオオカミ』の途中からみんな自分のほうを向いてくれ、3冊終わったときには、「おもしろかったなー」と教室に帰っていくのでした。

② 子ども達はなぜ読み語り(読み聞かせ)が好きなのか

 ある小学校の1年生から3年生、60名に『コッケ モーモー』と『ぼくびょうきじゃないよ』を読み語りしました。読み終わって帰るときに、1年生に「あしたもくるよね」と「くるよね」と言われて胸がいっぱいになりました。そして、言葉に困ったのですが「こられるといいいね。また会えるといいね」別れたのでした。
子ども達は、作品を読み語りによって出会って、精神を高揚させ、緊張させ、安堵という心の揺れを楽しんでいるのです。物語に出会って、こころを解放させるばかりか、はらはらどきどきと高揚させ、さらに体をふるえるほどの喜び、怒り―情動させる、このこころの動きが子ども達の喜びであり、話と出会うことの喜びなのです。
子ども達と遊園地にいく、つり好きのお父さんとつりをすることも、精神の解放を得られますが、読み語り(読み聞かせ)と何がちがうのでしょうか。言葉によって語られるということが大きな違いになるのです。
太古の昔から、人は火を囲み、今日の狩りの話などをしながら、家族で過ごしてきました。人はお話を聞くのが好きなのです。わたしたちが、テレビドラマを見るのと同じように、子ども達は絵本や子どもの本に出会うのが楽しいのです。
③ 子ども達と作品と出会い
子ども達は、作品の中の登場人物に出会い、人間認識を高めていることにもなるのです。話を読む、話を聞くということは、登場している人物を読むことですから、その行為、行動に注目することによって、「人物を見る目」が育っていきます。そこで、お子さん達に読んだ本のメモをすすめています。最初は題名から、つぎには作者や画家、そこまで書けるようになったら、出てくる人の名前、そしてその人がすきか嫌いかなどの批評を書いていくのです。

④ 小学校教師時代に出会ったこどもたち

 私の教え子達に、私が教室で読み語りをしたのを大人になっても忘れないとよく言われます。
 けんじは、泣かない子どもでした。お母さんも、「泣いて帰ってくるな!」という教育方針の方でした。そのけんじが『かたあしだちょうのエルフ』(おのきがく作 ポプラ社)を読むと大声で「ばかやろう」と机をたたきながら泣きました。
 また、けんすけは、落ち着きがなく、お母さんから、「うちの子落ち着きないでしょ」と相談されたこともあるようなある子でした。そのけんすけたちがいたクラスで、『おおきな木がほしい』(さとうさとる作 偕成社)を読みました。本をばらばらにしてつなげるとおおきな木になるので、2冊買って、ばらばらにしておおきな木にして読みました。当時、校庭で木登りをさせようと、マットをしいて子ども達をのぼらせました。そこで、けんすけは木に登ると「先生~海が見えるよ~ひろいひろい海だよ~」と言い出したのです。東京の下町の小学校、海なんていくら木に登ったからといって見えないのです。そのときのけんすけは、落ち着きのない子ではありませんでした。

⑤ 自尊心という感情

 あるお母さんから、お話を聞きました。中学生のお子さんが不登校だというのです。はしゃでみたり、落ち込んでみたり、情緒不安定だということ、そのお子さんが、赤ちゃんの頃に読んでもらったという『おててがでたよ』『くつくつあるけ』『きゅっきゅっきゅっ』『おつきさまこんばんは』という林明子さんの絵本を並べて、抱きしめていたそうです。そして、「よんでもらったのよね」と言ったそうです。その後、その子は、立ち直ったそうです。また、北海道大学教育学部の田中孝彦教授のお子さんも、中学生のとき、生活が乱れ困ったとき、保育園時代のアルバムを広げて、自分がやっと歩けるようになって保母さんがおいでおいでしている写真、スプーンをもてるようになってじょうずじょうずと拍手されている写真をみて立ち直ったそうです。成長の過程で困難に直面したときに、子どもを支えてくれるものは、「誇り」や「自尊」の感情でしょう。そしてその感情は無条件に大切にされる、愛されるという体験の積み重ねによって育てられていくのでしょう。
 私たちの何気ない一冊が、子どもたちの心を支え、励まし元気を与えているのかもしれません。
(文責・さくら)

☆ 参加の皆さんの感想

○ 先生の声の出し方、聞く人をひきつける話術に感銘しました。本当の読み聞か  せを体験し、新鮮な気持ちになりました。

○ 子供が悲しい思い、くやしい思いをした時に「本を読んで・・」とせがまれました。今思うと、その時、本を読んであげたことが、子供の心を解放させたのではないかと気付きました。

○ 子供の為の絵本なのに、小松崎先生に読んでいただいたら、大人の私も心が優しくなってきました。

○ 子供が大きくなるにつれ、読み聞かせすることがなくなったけれど、今日の講演を聞いて、また読んであげたくなりました。

☆ 2年生の子ども達の読み語り&感想

小松崎先生に読んでいただいたのは、『だごだごころころ』(石黒みな子再話 梶山俊夫絵 福音館)と『ぼくびょうきじゃないよ』(角野栄子作 垂石眞子絵 福音館)の2冊でした。時間が無くなり、「もう一冊おならの本を読もうと思ったんだけど残念」と言う小松崎先生に、子ども達は「えー」という声、そして「今度ね」という先生の言葉に、「どこで読んでくれるの?」と聞いてくる子がいました。そこで小松崎先生は「中野駅の近くであえるかな~」なんておっしゃっていました。

子ども達が書いてくれた感想文

☆ 『ぼく びょうきじゃないよ』っていう本がおもしろかったです。さん回もへ  やをまちがえていたちょっとへんなおいしゃさんでした。だけどけんくんには  いいことだと思いました。本を読んでくれてありがとうございました。

☆ 読んでくれてありがとうごさいます。とてもいい本をえらんでくれてありがと  うございます。おならという本もよんでもらいたかったけどおもしろかったか  らよかったよ。こんどもできたらよんでください。ぼくは本がすきなのでいつ  も読んでいました。ぼくもその本がほしくなりました。

☆ おならの話をききたかったんだけど時間がなかったからちょっとくやしかったです。あとぼくも中の駅でまちあわせをしましょう。またきてください。

☆ ぼくは、2じかんめから4じかんめまでいいのに。あのおならの本がよんでほしかったのに。こうなったら、土、日曜日かどっちかえらんでそして、中野に  いってあの人にあっておならの本を読んでほしいとおもいます。そして中野で  だんごをおみやげで、買ってきます。

☆ さい後に読んでくれた本がすごくすごくすごくすごくすごくすごくすごく、おもしろかったです。さいしょの本も、すごくすごくすごくすごくすごくすごく  すごくすごくすごくおもしろかったです。   
おならの本も読んでほしかったです。

ちなみに・・しゅんの感想(けっこうまじめに書いてます!)

☆ おもしろい本をいっぱいありがとうございます。
二つの中で一ばんおもしろかったのが、「だごだごころころ」だったです。まほうのしゃもじが、いっぱい水を出してくれて、すごくおもしろかったです。



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